リアルはエネルギーを消費する。
熱を加えたり、液体を送り込んだりするのには電源が必要だ。
特殊効果の機材保護ヒューズにもそこそこの負荷がかかっている。
管ヒューズはホルダーに差し込んだり、クリップで挟んだり、
ツメ付きヒューズはネジ留めしたりする。
寸法違いやネジの緩みなどで接点不良がないように注意したい。
また、製造者が目的を持って選んだヒューズは変更できないため、
よく種類を見極めることが大切だ。
ヒューズの溶断事由
ヒューズは可溶体と呼ばれる低融点の合金が溶断することで、電路を遮断し回路を保護する。
高い電圧ではなく許容以上の高い電流で溶断する。
関東電気保安協会にもツメ付きヒューズを例に原因の解説がされている。
基本は管ヒューズも同じ。
https://www.kdh.or.jp/safe/document/knowledge/distribution_board05.html
経験上少し加筆させていただき、主に以下のように。
1.可溶体が飛散
重大な故障、短絡で切れた場合は、可溶体がガス状になって跡形なく飛散して、周囲が黒く汚れる。
2.可溶体が中央で溶断
許容量を超えた電流が継続的に流れた過負荷の場合は、一般に可溶体中央部から溶断、ツメ近くに可溶体は残る。
3.可溶体の接合外れ
稀に経年劣化と継続的な高負荷で可溶体の接合ハンダが離れる場合がある。
ガラス管ヒューズだと末端のハンダ離れは見えないことが多い。
4.可溶体末端で溶断
クリップの汚れやツメのネジ緩みなど、接触部分の電気抵抗が増えた場合、高温で可溶体が溶ける。
同じくガラス管ヒューズだと末端の様子がわからない。
時々3と4に遭遇すると、ちょっと説明に困る。
機材のヒューズが切れた時、上記の知識があると復旧の手順が随分割愛できる。
管ヒューズの寸法と種類
ガラス管、セラミック管などのカートリッジタイプ。
似たような寸法があるため海外製機材を扱う際にはノギスなどで測る必要がある。
寸法を間違えると、緩みで接触不良を起こしたり、交換時に抜けなかったりする。
以下、(端子部分の直径)x(末端ハンダを除いた長さ)の主な寸法。
主な寸法
日本で標準的な管ヒューズの寸法
・6.4mmx30mm
ミゼット型
一般に入手しやすい小型のヒューズ。
・5.2mmx20mm
3AG,3AB
海外製の機材に使用されていることがある。
inchを基本に端数を切り捨てmm表示されている。
以下おそらく誤差の範囲。
・6.35mmx31.8mm
・6.35mmx31.75mm
・6.3mmx32mm
※6.35mm=0.25inch, 31.75mm=1.25inch
2AG
扱ったことはないが、調べてみると寸法に幅があり過ぎ。
・4.5mmx14.5mm
・5mmx15mm
・4.2~4.8mmx14.1~14.9mm(.16”~.19” x .56”~.59”)
主な種類
ガラス管ヒューズ
一般によく使用される透明ガラス管ヒューズ。
内部が目視できることで種別や状態がわかることもある。
セラミック管ヒューズ
ガラス管より溶断時の絶縁性が高い。
ただし内部が目視できない。
消弧剤入り管ヒューズ
溶断時のアーク放電を速やかに消す、ケイ素を主成分とする白い粉末状の消弧剤が封入されている。
ガラス管だと白い粉末が見える、セラミック管にも入っていることもある。
溶断するとガラス管内が激しく黒化するのが特徴。
アーク放電により電路がつながっている状態ができてしまう。
交流だと0Vになる瞬間に収まることが多い。
直流や全波整流した交流は、アーク放電が収まらず発火に及ぶこともある。
動作時間と溶断特性
ヒューズには動作時間に加えて、溶断特性にA、B種とあり一般にはB種が多く、A種より遅く切れる。
可溶体も様々で棒状、板状、コイル状、部分的に形状を変えているものもある。
形状により溶断特性の調整を行なっている。
普通溶断型
中でもJIS規格で通電容量130%とされるB種が一般に使用される。
AC125V表記ヒューズだと130%で162.5V、商用交流100V電源のピーク値140Vも許容内になる。
スローブロー,タイムラグ溶断型
モーターやサージ電流保護など、一時的な電流値の上昇が常時起こる回路保護。
ファストブロー,速動溶断型
半導体保護など、速断が必要とされる回路保護。
その他の形状
平型ヒューズ,ミニ平型ヒューズ
自動車用のヒューズ。時々バッテリー駆動機器に使用されている。
他に低背ヒューズなどがある。
リセッタブルヒューズ
自己復帰型保護ヒューズ。ポリスイッチなどの製品で知られる。
サーミスタの一種ではあるが、ヒューズとしてラインナップされることが多い。
過電流か加熱させられると自身の抵抗値が上昇し、電流を制限し回路を保護する。
温度が下がれば抵抗値も戻り回路が自己復帰する。
主に基板上に配置されるが、他の部品と見分けがつきにくい。
放置すると重大な不具合に発展するものには使用しない。
LEDラインの短絡、漏電の一時対策に使用されていることがある。
エンクローズドヒューズ
包装ヒューズ,エンクロなどとも呼ばれる。
絶縁体の筒により保護されているおり大電力に使用される。
クリップ端子、刃型端子などの取付形状がある。
あとがき
知ってるだけをまとめるだけでも事柄が多い。
情報はほんの一部でしかないので、あしからず。