メカニカルなスイッチの感触が好きだ。
気の遠くなる耐久テストを経て世に送り出されるのである。
とある会社では500万回の耐久開閉テストをクリアする。
1日10回押しても1370年かかる。
日頃スマートフォンのタッチパネルを操作しているが、やはりクリック感が欲しくなるもの。
巨大なゲームコントローラーで勝負する漫画に憧れたこともある。ゲームしないけど。
仕事では確実な「操作感」が必要になってくる場合が多い。
「レスポンス」「体感」との差異を埋めていく作業にもなる。
いかなる局面でもメカニカルスイッチは最後の砦であり続けて欲しい。
スイッチにはいろいろな形状があるが、機能形式には基本がある。
モーメンタリとオルタネイト
メカニカルスイッチの形状選択を除けば、最初の選択肢となりうる。
モーメンタリとは「つかの間、瞬間」、オルタネイトは「代替、交代」の意味があり、
スイッチ操作後に初期状態へ戻るか、操作した状態を保持するか。
単純化すれば、モーメンタリはスイッチから手を離すとOFF、オルタネイトはONのまま。
トグルスイッチなどは片側ずつで共存していることもある。
a,b,c接点
リレーなどでよく見かける呼び方。
a接点とは常時OFFからのON動作を行う。
とかけば難しいが、普通に押せばONになるスイッチ。
自宅の照明や扇風機のスイッチ、キーボードなど。
b接点とは常時ONからのOFF動作を行う。
緊急停止スイッチなど、押された時にOFFになるように動作するスイッチなどがこれ。
c接点とは、a接点とb接点が組み合わさったもの。
階段照明などに使われる上でも下でも同じ回路を操作できる三路スイッチもこれにあたる。
OFFの状態でもなんらかの動作を持っているものもある。
単投と双投
主にトグルスイッチの種別に使用される。
「電源を投入する」という言葉と繋がりやすい。
単投とは前述のa接点になる。「ON-OFF」と表示されていることがある。
双投とはc接点と同義であり、「ON-ON」とも表示される。片側をb接点としても使用できる。
また、スイッチの扱う回路数を極数といい、基本的に極間は絶縁されている。
1回路c接点及びb接点は単極双投となり、2回路a接点は2極単投となる。
中点付きというものあり、オルタネイトでは「ON-OFF-ON」と表示される。
モーメンタリの場合はカッコつきやM(モーメンタリ頭文字)で表示される。
たとえば双投中点付き片側モーメンタリの場合は、「ON-OFF-(ON)」となる。
双投片側モーメンタリ「ON - ON・M」という表記もある。
稀にON-ON-ONの3投というのがある。
N.O.とN.C.
英2文字なので小さなスイッチにも刻印されていることがある。
N.O.とはノーマリーオープン、常時開端子で、a接点の初期状態となる。
N.C.とはノーマリークローズ、常時閉端子で、b接点の初期状態となる。
COM.と表示されたコモン、共通端子はこれらに電力を供給する端子である。
スイッチ、リレーに限らず、様々な分野で目にするので覚えておくと理解が早い。
流体システムと同時に扱っていると混乱するが、電気に関しては開放(Open)は非導通(OFF)になる。
あとがき
同義語が複数あり、他メーカーと比較検討する時には混乱するが、
N.O.を覚えればN.C.とCOMは出てくるし、通常a接点としておけばa+b=cの組み合わせ、
モーメンタリーの意味を思い出せたらオルタネイトも思い出す。
自分で使うときは適時組み合わせれば良いと思う。
ちなみにオケタニは英語と暗記が苦手なので、
モーメント(瞬間)、オルタナティブミュージック(商業音楽とは違うもう一つの選択)で覚えた。